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Tムラさんのこと

池花池の白鳥

Tムラさん。という仕事の大先輩がいた。

当時、今の私と同い年くらいだったのだろうか。
いや、もう少し若かったような気がする。
優しくてすてきな独身のキャリアウーマン(もう、死語ですね)

フリーランスで仕事をしていたTムラさんは、
だいたい、いつも月刊誌の入稿〆切が近づくと
事務所に現れた。

若いデータマンたちが集めて書いた資料原稿を元に
内容と字数に合わせて書き上げる、アンカーマンだった。
リライト、とも言った。

Tムラさんは、新人編集者の私たちによく声をかけてくれ、
たいがいお昼少し前に事務所にやってきては、
「一緒にお昼食べよう!」
と、誘ってくれた。

当時の四谷三丁目界隈は、ランチに事欠くことはなく
ドイツ料理、鯛めし、欧風カレー、稲庭うどん、有名親子丼、中華、イタリアン、フレンチ・・・・
手ごろな値段で美味しいランチを食べさせる店がたくさんあった。

仕事が詰まっていて気が気じゃなく、
コンビニのサンドイッチやおにぎりで十分、と思っているこっちの腹を見透かすように
「急いては事を仕損じる。腹が減っては戦はできぬ」
といって、
注文したランチを待つ間、いつもビールやワインを注文した。
自分の分だけでなく、私たち後輩のグラスも。

最初は不謹慎な人だと思い、戸惑ったが、「肩の力を抜いて仕事しなさい」
と教えてくれているのだと、暫くたってからわかった。

バブルの弾ける前で、仕事量が膨大にあった。

定期の月刊誌の仕事に加えて、PR誌の企画、単行本の企画、絵本の翻訳。
編プロなので、何でもやった。
読者モデルがドタキャンのときには、急遽読者モデルもやった。

仕事が重なり、日曜出勤していたころ、「近くまで来たから・・・」と
何気なさを装って、手伝いに来てくれた。
そんな先輩だった。

色々教えてくれた。
美味しいものを食べさせに連れて行ってくれた。
絶対に私たち後輩にお金を払わせず、
1人で全部払って下さり、
1次会、2次会、3次会。

「払わせてください」といっても
「私も先輩にこうやってもらったのよ。」といって、決して払わせなかった。
「私にではなくて、いずれ後輩に返して」

都内から茨城に引っ越し、仕事の仲間も変わり、
返すべきはずの後輩も周りにいなかった。

夫が始めた仕事を手伝っているときにも、
第2、第3、第4、第5・・・・・たくさんのTムラさんに出会い、助けられた。

当館の仕事をしている今でも、みなさんに助けられている。
私は、みなさんから受けた御恩を、いつ返せばよいのだろう。
どんな形で返せるのだろう。

ときどき、Tムラさんのことを思い出す。

※数年前、結婚したとのお知らせ賀状をいただいた。
その後、引っ越されたようで、連絡がとれないが、
きっと、よい老後を送っているのに違いない。




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