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小林秀雄のおっかさんと、ヒウラさんの蝶

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文芸評論家の故・小林秀雄さんの随筆の中に、こんな内容の一節があったように憶えている。
二つとも、お母さまがお亡くなりになった後の話だ。

一つ目の話。
或るとき、したたかに酔い御茶ノ水だか水道橋だかの駅のホームから足を滑らせて、
数十メートル下に落っこちたらしい。
すわっ、大惨事と周りの誰もが思ったらしいが、骨折程度だったとのこと。
このときを述懐して、
「あれは、おっかさんが助けてくれたんだ」と、心から感じたそうだ。

もう一つ。
鎌倉の鶴岡八幡宮の裏手の山の上の家に小林さんが住んでいた時、
夕刻、タバコを買いにか何かで散歩に出て、坂道を降りていると、
家を出た門の辺りから、一匹の蛍が歩調に合わせるように、付いてきたという。
いつまでもいつまでも付いてくる蛍に、小林さんは「おっかさんだ」との確信を得たという。

だいぶ以前に読んだ本の記憶なので、脳内改編をしてしまっているかもしれない。

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3日の東京文化会館小ホール。
樋浦靖晃さんのギター・リサイタルは、主催が当館の母体、東京労音だったので、
少しだけお手伝いをさせていただいた。火曜ということもあり、当館休館日だったので。
スタッフ席で、公演もひっそりと拝聴させていただいた。

演奏会の素晴らしかったことは、ギター愛好家の皆さんがたのSNS等で、
もう既に伝わっているので、私は、今回の演奏会のパンフレットのご挨拶文に出てきた
ヒウラさんの「蝶」のお話しを読んで感じたことを書かせていただこうと思う。

偶然が重なる「蝶」の話。
いくつものエピソード。
蝶は魂と同義。
昨年他界されたお母さまとの関係性。

そして、演奏家ヒウラさんの魂が拡散して、ギターの音色がいくつもの蝶になって、
時間と音楽を共有した聴衆の心の中、一つひとつに、すうっと入り込み、
透明になって溶けこんだような気がしている。

そんな演奏会だった。

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夫の祖母の臨終の際の話だ。
娘が生まれる前年の春。
夜通し病院の集中治療室で祖母の手を握って介護をしていた義母が、
朝になって姉妹と替わり、家の居間でうたたねをしようと横になったところ、
何度も、何度も、小鳥が窓ガラスを叩いたそうだ。
カーテンを開けると、隣家との境に植えてある、祖母が丹精した楓の梢に
一匹の美しい蝶が停まっていたという。
義母は、咄嗟に「あ、母さんがお別れを言いに来た」と感じたそうだ。
そのうち、ひらひらとどこかに消えてしまい
まもなく、祖母の臨終を告げる電話がかかってきたという。

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感性、について考えることがよくある。
感動、についても考える。

人を感動させること。
自分が感動すること。

人を喜ばせること。
自分が喜ぶこと。

音楽の仕事は、奥が深いですね。
















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